書評:Amazon Web Services 実践入門
著者の「リーダー」こと@iaraさんから献本頂きました。ありがとうございます。 発売早々に増版が決まったそうで、発売祝いブログのつもりが増版応援ブログになってしまいました。
概要
AWSの基本機能について、いずれも日本語マネジメントコンソールとAWS CLIの両方による操作方法を丁寧に記載しています。
これから書籍片手にはじめてAWSを使ってみようという方、AWS CLIによる操作も行ってみたい方向けの内容です。
取り扱うサービスは以下の通り。一般的なITシステムを作るときに必要なサービスが一通り押さえられています。
- EC2(EBS, Security Group) / Route53 / VPC / S3 / CloudFront / RDS / ELB / CloudWatch / Auto Scaling / IAM / Billing
昔話
ひっじょーに古い話で恐縮ですが、本書を一通り読んで、2000年頃に読んだ「FreeBSD 2.2.5J サーバ構築ガイド」を思い出しました。
双方とも、インフラを使って提供できるサービスを一通り、テクニカルな観点から仕組みを解説しつつ記載する、というスタイルだからです。
私がオープンソースのOSに初めて触れたのはFreeBSD2.2.8で、そのとき先輩から上記の書籍を渡されました。もう15年も前の話です。
フリーのOSを使ってインターネットサーバが構築できると聞き、この書籍を元に色々なサーバを立ててサービスが動くの嬉しくて、体当たりでその仕組を理解したものです。Webサーバ、DNSサーバ、メールサーバ、NIS(NFSではありません)などなど。
なお、当時の大学では個人の端末にグローバルアドレスを割り当てられていて、自分のマシンにFreeBSDを入れればどんなサービスでもすぐに…という話がありますが、昔話はこの辺にしておきましょうか。
ともあれ、各種のサービスについてまずは動くものを作り、実際に作りながら「うまくいかないなぁ、なんでや」と試行錯誤しながら仕組みを学んだことは、今になっても役に立っているように思います。
本書について
インターネット上でサービスを提供するにあたり、クラウドを使って1人のエンジニアが全体像を理解してデザインできるようになりました。昔のように1人のエンジニアが全体を見渡せるようになってきたのです。
本書はAWSでサービスを構築しようとする際に必要となる、主要な情報をうまくまとめてくれています。まず触ってみるのにちょうどよい深さと広さだと思います。
また、いざAWSを触ってみようとしても、目的となるお題が無いと何を作っていのか分からず、立ち止まってしまうものです。
よく使われる機能を幅広く解説した本書はそのような場合にもよいガイドになるでしょう。
もう1点、本書の特徴に、操作手順がマネジメントコンソールだけでなく、AWS CLIで行う方法も併記している点があります。
本書がAWS CLIにこだわっている理由はプログラマブルな操作を知ってほしいから、と冒頭に記載されています。しかしながらELBの章(第8章)の最後に書かれているように、AWS CLIによる操作を理解することは、AWSをより深く理解することにも繋がっていきます。
- 「マネジメントコンソールではあまり意識しないようなこともAWS CLIではしっかりとオプションとして指定する必要があります。AWS CLIを使うことで、オプションなどの理解も深まると思うので両方共ぜひ試してみてください」
まず触ってみたい人はマネジメントコンソールを、AWSのよりディープな世界を知りたい人はAWS CLIを、それぞれ使いながら読み進めていけるのが、本書の面白いところですね。